手の平の汗(手掌多汗症)
暑さとは関係なく、日常生活で困るほど手のひらに汗をかく疾患です。幼少児期あるいは思春期ころに発症することが多いと言われています。
汗で手がふやけてしまったり、皮膚がむけたり、湿疹ができたりすることもあります。また、汗で長時間湿潤した皮膚はあせもができやすく、皮膚がふやけて表皮がはがれてしまうこともあり、カビや細菌、ウイルスに感染しやすくなります。
プリントが濡れてししまう。授業中のノートがとれない。握手をすると相手に不快感を与えてしまうのではないかと心配になる。パソコンやスマートフォンなど、電子機器が壊れてしまうことがあるなど、生活にさまざまな影響が出るといわれています。
昼間に汗が多いですが、脳の働きが低下する睡眠中は手のひらには汗をかきません。冬は皮膚の血流量が低下するため発汗量は減り、夏は皮膚の血流量の増加時に汗の量が増える傾向にあります。
たくさんの汗が出ますが、汗がでる汗腺の数などには個人差はありません。1つの汗腺から出る汗の量が多く、また、働く汗腺の割合が多いことがわかっています。手のひらは、緊張や集中といった精神活動が交感神経に伝わることで発汗を起こします。
多くは緊張や不安、恐怖といった精神的なストレスなどの刺激により汗が出ます。精神的緊張がかかると、脳からの指令を受けて交感神経からアセチルコリンが放出されます。それがエクリン汗腺にある受容体に結合して、大量の汗が分泌されます。一度発汗すると止まりにくいのが特徴です。
現在、行われている治療は症状を和らげたり、なくしたりする対症療法で多汗症自体を治すものではありません。しかし、最近は抗コリン外用薬など新しい薬も登場し、治療の選択肢が増えつつあります。手掌多汗症の治療には、塗り薬、注射薬、経口薬などがあります。
汗で困っている人が少なくないこと、汗には必要な役割があることなどについて多くの人が知り、「汗は不潔」などの否定的なイメージを変えることが大切です。特に家族や学校の先生が多汗症を理解し、配慮し、環境を整えるだけで、多汗症に悩む本人は生活しやすくなります。
多汗症は完治するのは難しいですが、コントロールすることは可能です。多汗症についての理解を深め、うまく汗とつきあっていきましょう。
多汗症治療剤
手のひらに多量の汗をかく「原発性手掌多汗症」に対する日本初の治療剤 アポハイドローション20%
1 日 1 回、就寝前に手のひらに塗ることで汗を抑える効果を発揮する、日本初の原発性手掌多汗症治療剤です。医師による処方が必要ですので、手のひらの汗でお困りの方は、ご相談ください。
